どんな子どもにも、等しくチャンスが与えられるべき

玉木雄一郎(以下、玉木)日本の一番の課題は少子化だと考えています。今年生まれた子どもの数は92万人。私が生まれた頃は120〜130万人、私の親世代は260〜270万人が毎年誕生*1していましたから、激減しているわけです。
こくみんメモ*1
厚生労働省人口動態総覧より

玉木加えて、七人に一人の子どもがいわゆる「相対的貧困*2」。ひとり親家庭の子どもでは、実に半数が相対的貧困という状況です。
こうした、未来を担う子どもたちを取り巻く環境をどう改善していくのかが、これからの政治の一番の課題ではないでしょうか。
私たち国民民主党は「未来への責任」を理念にも掲げており、子育て、教育に最も力を入れていきたいと思っています。

田名部匡代(以下、田名部)少子化や子育て環境の問題は、今に始まったことではないんですよね。もっと前から、この国の重大な課題だったのに、無責任に先送りにされてきた。だから今こそ私たちが未来に責任を持って、子育ての環境を豊かなものにしていかなければならない、とつくづく感じます。

古川元久(以下、古川)いつの時代も、次の時代を作る子どもたちは、社会にとっての宝です。どんな環境で生まれようと、大人になるまで社会がしっかりサポートしていく環境に変えていけないといけないですね。

田名部私の友人も、優秀だったにもかかわらず、家庭に余裕がないという理由で大学進学を諦めざるを得なかった。古川さんがおっしゃったように、家庭環境に左右されることなく、学ぶ意欲のある人たちが学べ、チャンスをつかめる社会を、私たちは作っていかなければならないですね。

こくみんメモ*2
世帯の可処分所得(収入から税金や保険料を省いた、生活に使える額)などから算出した数値が、国の全世帯の所得の中央値の半分(貧困線)を下回っている状態のこと。政府発表の厚生労働省国民生活調査では、2017年では子どもの貧困率は13.9%(7人に1人)と発表され、ひとり親家庭の場合、その半数以上が相対的貧困状態にある。

地域や所得による格差をなくし、子どもたちの未来を変える

玉木私は香川県の田舎で生まれ育ったのですが、たとえば地方から都会の大学に行くことになると、授業料の他に、生活費なども親としては仕送りしたい。ただ、統計をとってみると、仕送り代はこの20〜30年でものすごく減っているんです。*3今までは親がしっかり稼いで、子どもの学業を支えていたけれど、収入が減った今、子どもは学ぶ機会や夢を諦めなければならないケースが増えている。こうした状況を、まさに政治の力で変えていかなければいけない。

こくみんメモ*3
2000年時点では、国立大学の場合年間約117万円、私立大学で167万円が仕送りとして家庭から学生に給付されている。これが2016年になると、国立97万円、私立125万円と大幅に減少。
田名部地方では学校の統廃合も進んでいますね。学校がなくなったために遠くに通わなければいけない、そこに交通費がかかる、というように、低所得な上に負担は増えている状況です。一方で、どんどん時代は変わってきており、新しい分野を学ばなければいけない。次の時代を作るのは今の子どもたちですから、彼らが次の時代を生き抜き、そして切り拓くために必要な知識を、教育という形で提供していく。これが国の責任ですよね。
玉木かつての民主党政権で、高等学校の無償化を実現しました。あれは4,000億円くらいの予算を使ったんですが、当時はバラマキだとものすごい批判を受けました。
ただ、あの制度は今も残っているんです。かつ安倍政権は、私立高校も実質無償化にしようとしているので、ある意味民主党は10年も前から今の動きを先取りし、教育や子どもの未来を創っていくことに取り組んできました。
AIを始め、教育をめぐる環境も大きく変わっているので、さらに踏み込んで、子どもたちが育ち、学ぶ環境をしっかりと社会全体で支えていく仕組みを強化していきたいです。
古川今、日本最大の問題である人口減少*4。このスピードを少しでも緩めるためには、当然新しく子どもたちが生まれてくる必要がある。そのためには、「子どもは社会でちゃんと育てていきますよ。だから安心してください」というチルドレンファーストの環境でないといけません。それではじめて、子どもが増えるんだと思います。
こくみんメモ*4
2008年には1億2,808万人 とピークに達した人口は、2018年1月1日時点の人口動態調査では約1億2,520万人で、9年連続で減少している。
2060年には8,674万人に減少し、その内65歳以上の人口割合は約40%に達すると推計されている。

待機児童問題解決には、手順と優先順位が大切

田名部選挙のことを考えると、投票率の高い高齢者向けの政策をどうしても手厚くしがちです。だからこそ、子どもや若い人たちへの政策・支援が遅れてしまったと思うんです。
そして、旧民主党時代のような新しく思い切った政策を実現する機会が、「政権交代」だと思います。今までの旧習を断ち切った未来型の政策に取り組めるよう、政治の土台を作っていかなきゃいけないと感じます。
玉木私たちは新しい政党ですから、これまでの古いしがらみや流れを断ち切って、根っこから税金の使い方を変えていきます。特に、子どもの数が減っているからこそ、未来に思いきって投資をしていくような政治をしていきたい。
そのためにも、課題となっているのが都会での「待機児童問題」です。政府は、消費税の増税分で保育園・幼稚園を無償化しようとしているのですが、私はふたつの問題を懸念しています。
ひとつは、低所得の方の保育料は安くなっている現状で、無償化により高所得の家庭の方がよりメリットを受ける、お金持ち優遇策になるのではないか、という危惧。
もうひとつは、無償化で保育ニーズが高まり、希望者が押し寄せて待機児童問題がむしろ悪化するのではないかということ。もちろん私たちは幼児教育無償化を進めてきたし、やるべきだと思っていますが、ちょっと順番と優先順位が違っている気がしてなりません。まずは保育士さんの待遇*5を上げ、施設の充実を図ることで、現状の待機児童の解消に全力を上げる。あわせて、無償化もやっていくというのが、課題解決にもっとも適した進め方だと思います。
こくみんメモ*5
2015年の調査によると、保育士の平均年収は約323万円、平均月収は約27万円。
保育士など保育等従業者の人材確保のため、国民民主党は処遇改善法案を提案している。
田名部待機児童だけでなく、児童虐待も大きな問題です。つい先日も、救えるはずだった小学4年生の女の子の命が虐待で失われた*6という、本当に痛ましい事件がありました。こういう悲劇が繰り返されているようでは、政治が責任を果たせているとは思えない。そこはしっかり子どもたちを救える体制を作る必要があります。
こくみんメモ*6
千葉県野田市で、小学4年生の女児が自宅で死亡し、傷害の疑いで両親が逮捕された事件。女児を保護した柏児童相談所が、父親の脅迫に屈して女児を家庭に戻し、その後女児は死亡。児童相談所の対応に問題があったとして大きな話題となった。
玉木その通りです。私たち政治家は、もう一度本来の役割を果たさないといけない、と改めて強く思います。子どもを何よりも大切にし、第一に考えるという姿勢で、解決に当たりたい。
古川いわゆる「斜めの関係」というか、家族だけでなく周辺に住む人たちみんなで子どもを守り育てていくという社会を作らないといけないですよね。

子ども中心に考える“コドモノミクス”は、経済活性化につながる

玉木先日、ある大学院生にこんな話をされました。若者は「夢をもって頑張れ」ってよく言われるけれど、今はみんな奨学金という借金を背負って社会に出ていくわけです。4年制大学で何百万、大学院まで行くと800万円*7もの借金を負う方もいて、就職したその月から返済に追われていく。それでは夢を持ってやっていくなんて無理です、と言われたんですよね。
こくみんメモ*7
労働者福祉中央協議会の2016年の調査によれば、借入総額の平均は312.9万円。月々の返還額は平均1.7万円。借入総額が500万円以上の層は1割ほどで、その層では返還額が月3万円以上の人が4割を占めている。
奨学金利用者のうち、34歳以下の4割が返済について「苦しい」と回答し、非正規雇用者の方が正規雇用者よりも多く「苦しい」と回答している。
玉木給付型の、返金しなくてよい「渡し切り奨学金(給付型奨学金)*8」を、かつて旧民主党が率先して提唱したけれど、まだまだ広がっていないのが現状です。就職した途端に借金返済に追われるような社会は、財政支援をしてでも変えていくべきですよね。結果として、それで若者の負担がなくなれば、消費が拡大し経済も元気になるし、税収も上がるなど、全体としてはプラスになると私は考えています。
こくみんメモ*8
返済不要の給付型の奨学金。学生・大学院生の奨学金の借入額が上昇し続けていること、雇用状況の悪さから、返済に苦しんでいる若者が多いことを憂慮した民主党が、格差是正を目的に提唱したもの。
古川それこそが、国民民主党が主張する「コドモノミクス」ですね。
玉木そう。子どもを中心に考えることによって、結果として消費も経済も活性化させる、それを私たちは「コドモノミクス」と呼んでいます。
田名部そこには働き方の問題も関係してきますね。
玉木これはある若い男性地方議員の方から聞いた話ですが、お子さんが病気になり育児休業をとって休んだそうです。残念なことにお子さんは亡くなり、それだけでも悲しいのに、その後職場に戻ると「男のくせに育児休業して」と批判されたそうです。
男性の育児参加を促進するなら、男性の育児休業*9も、権利として法律で取得を義務化していくことが、私は大事だと思っています。
そうした意味で、男女の別なく働き方自体を変えていかないと本当の少子化対策にはつながりませんから、合わせて取り組んでいきたいですね
こくみんメモ*9
厚生労働省平成 29年度雇用均等基本調査によれば、女性の育児休業取得率83.2%に対し、男性は5.14%。上昇傾向にはあるものの、業種によっても取得のしやすさに大きな差があり、取得できない男性はまだまだ多い。

玉木雄一郎の新しい答え。

子どもへの投資で消費と経済を活性化させる「コドモノミクス」